本日の収穫(3839文字)
現代はですね
確かに科学技術が非常に進歩して
例えば縄文時代に比べればですね
縄文時代はガラスもないし扉もないし
本当にこう
貧しい感じで住んでたんですけども
それなりに時間もあったわけですね
従って それであまり
人工物っていうかですね
アスファルトのところもないし
自動車も走ってないっていうことで
自然そのものをですね
よく観察できたわけですね
自然そのものをよく観察するとですね
地域による差がすごく大きく出るんですね
例えば砂漠みたいなところはですね
非常にこう厳しいんですよ
私の教え子がある時ですね
外国に六か月ぐらい行ってまして
帰ってきてですね 私に言ったのは
先生!自然というのは人間を襲うんですね
って言ったわけですよ
もちろん彼はそれまで
もちろん日本人ですからね
日本人は自然が人間に襲ってくる
という感じは たまにはありますよ
地震とかそういうのがありますからね
ですけども日本は日常的には
非常に穏やかなんですよ
基本的には焼け死にもしない
夏が暑くてや焼け死にもしない
冬が寒くて凍えもしない
最近温暖化とかいってますけども
どちらかというと
やっぱり夏の方が やっぱり楽なんですね
昔から動物もですね
春に子供を産むんですね
それは冬を越すっていうのは非常に厳しくて
夏を越すっていうのはですね
やっぱり今クーラーなんか付けてますからね
東京なんかにいると暑いんですけども
木々があるようなところにいてですね
そしたらそんなに暑さっていうのは
人間が耐えられないような
もんじゃないんです
特に日本は温帯の島国なんですね
皆さん世界地図を見るとわかるんですけども
意外と温帯に島国ってないんですよ
温帯には大陸なんかがあってですね
赤道直下にはインドネシアとかフィリピンとか
島がものすごく多い国があるんですけども
温帯の島国っていうと
日本ぐらいしかないといってもいいんですよ
類似しているところは
イギリスそれからマダカスカル
ニュージランド
なんていうのがあるんですけども
それぞれ それほど歴史がなかったり
少し亜寒帯だったりしましてね
だから日本っていうのは 非常にこう
自然を観察しながら自然と共にやっていける
自然は決して日本人を襲いはしないと
そういう自然に対する信頼感もあるし
感謝の心もあるということで
やっぱりそれに基づいて
人の生活環境とか考え方が変わっていくわけですね
そこで日本もですね
最初にできた宗教っていうのはですね
非常に穏やかな自然をこう
信頼する宗教だったわけですね
それは当然なんです それから日本はですね
日本人全体が殺されるとか
そういうことはほとんどなかったわけですね
島国だから守られていた
それからまた中国なんかですとですね
移民族が来て殺されることが随分多い
有名な歴史学者の
岡田先生の調査によるとですね
私もその調査の結果をある機会で
見させていただいたことあるんですが
紀元後二百年ぐらいでですね
のところで中国人の約九割
ちょっと信じられませんけどね だから
ほとんど皆殺しにあった時代もあったんですよね
だから自然が
人間を襲ってくるっていうのも日本は少ないし
人間が人間を襲うというのも
少なかったと まぁいうことですね
例えば青森の三内丸山遺跡とかですね
佐賀の吉野ヶ里遺跡といった遺跡を
登呂遺跡とかですね
そういった遺跡を見ますとね
日本の古代というのが
大きな力を持った酋長なんかもいなかった
つまり非常に巨大な建物とか
豪華なものがあんまり多くないんですね
みんな同じような生活をしてる
竪穴住宅でも
その竪穴住宅の跡っていうのは
もちろん少し金持ちだとか
少し権力があるとか
若干 貧乏な人だったかなーと
思うようなところはあるんですけども
それほど開いてない
そういう中で自然に対する信頼感
それから人間に対する
信頼感っていうのがですね
両方とも日本にはあったんですね
そういうことで
日本人っていうのは まず
やはり人間っていうのは何かに感謝したり
何かにすがって生きる
非常に苦しい時がありますからね
なんたって日本の縄文時代だったら
推定されてる平均寿命ですと
大体十八歳から二十五歳ぐらいの間なんですよ
墓の調査なんかで
大体そういうのはわかるんですけどね
もちろん病気もしないで栄養も十分な人は
それは四十ぐらいまで生きたんですが
平均すると そんな風になってしまうんですね
江戸の時代でもですね
最初の子供を病気で亡くし
二番目の子供も病気で亡くし
三番目の女の子は何とか育ったけれども
四番目の男の子もまたすぐ死んだ
なんていうのもですね よく出てくるんですよ
そういう時代ですからね
悲しい人間だったわけですね
そういうことを克服するために
また宗教っていうのが出てくるんですが
今まで説明しまして
日本の宗教っていうのは
自然と祖先が神様なんですね
自然っていうのは
自分たちを作ってくれたもの
もちろん山があり川があり海があり
そして田んぼがある平野がある
そういうところで我々は そこから
食料を得て住居を作って住むわけですから
飲み水を飲んで だからまさに
自然というのは我々を生かしてくれるわけですね
動物もそうですね そういう点では
自然を敬うというのは
これは当然の人間の感情ですよね
だから自然は神様であるということで
これは一つ確定したと
それからもう一つは日本は島国でしたからね
あんまり外国の人が入ってこない
外国の人が入ってきても日本は
すぐ日本人として取り扱うと
外国人としては
差別しないという文化がありましたから
まぁ一家みたいなものだったわけですね
それで普通系図を書く時に 祖先から書くと
祖先の男の太郎兵衛から誰ができて
こうこうこうってなるんですが
逆に書きますとね
自分から系図を書きますと
自分の父親母親は二人
祖父さん祖母さんは四人
曽祖父さん曽祖母さんは
八人という風に2^nでなりますからね
そうしますと千年も経つと全くその
近親相姦とかそういうのないとですね
三十億人ぐらいの遺伝子が入るんですよ 自分に
だから日本なんかは せいぜい一千万人
多くても一千万人だったわけですよ
もちろんずっと昔は何百万人とか
何十万人ってときもあったわけですよね
一千万人としましょうか
一千万人の血が混ざるなんて
本当短いんですね
数百年で血が混ざってしまう ということは
日本人は基本的には
三万年から四万年ぐらい前から
日本人の祖先が
日本列島に住んでたと思うので
また外からも来られた人もいるんで
そういうのも考えるとですね
我々は全部兄弟なんですよ
だから日本人を見ると背の高さ
頭の髪の毛の感じ日本人らしい顔つき
それから考え方 ちょっとお尻が下がってて
足が短い みんな似てるんですよね
これは遺伝子が共通してるんですよ
ただ近い遺伝子ですね
父親とか兄弟とか
そういう遺伝子とは似てるんで
顔つきとか わずかな顔つきですね
それも日本人なら相互にわかりますけど
外国人ではわからないぐらい
似てるっていうことはあるんですね
血筋が近いと性質とかですね
ですけど特に男の場合は
お父さんの遺伝子が
そのまま息子に流れますから
お父さんと息子っていうのは
かなり似てることは似てるんですよね
そういうことがあって
しかし血が混ざってるっていう
自然観察も鋭かったわけですよ
どうも俺達は自分の子供とかいってるけど
いやあれ 自分の子供でも親戚の子供でも
親戚じゃなくて郷里の子供でも
みんな似てるねと
これは多分みんな祖先が一緒なんだねと
いうことに気が付いたんですよ
それで祖先を祀ることにした
我々は祖先からできている同じ人間なんだと
だから自分の子供っていうのに
あんまり執着してないですね
まぁ小家族でなかったと
いうこともありますけども
みんな子供は
俺たちの子供なんだという意識があった
そこで日本は宗教は
自然を崇拝するっていうのと
祖先を崇拝するっていう
二つだったんですね
ところがね これを
明治の初めにキリスト教が入ってきたり
それから奈良時代に
仏教が入ってきたこともそうなんですが
なんか仏教とかとキリスト教の方が
優れた宗教だと
いう風に錯覚した文化人とか
宗教関係の人がいたんですね
この理由は後で
二番目にお話する予定ですが
そういうことがあったので
日本の宗教は多神教とか呼ばれてるんですよ
多神教か?一神教か?っていう分類は
ヨーロッパの分類であって
日本にはそういう分類はありません
日本はですね 宗教という
昔日本人が宗教っていってたときはですね
これは今でいう宗派なんですよ
例えば 法然上人は浄土宗だとか
日蓮上人は日蓮宗だとか 法華経ですね
それから親鸞っていったら
浄土真宗であると
これを宗教といったんですね
今は宗派といってますけども
なぜかっていいますと
日本の宗教には教えがないんですよ
教えというものがないんです 元々ですね
だって自然そのものが教えであり
親とか おじいちゃんおばあちゃん
祖先が神様なんですからね
ですから教えを受けてんじゃなくて
教えをその人たちから自分たちが
感じ取るという能動的宗教なんですよ
あのー 日本以外の宗教は
もうちょっとレベルが低くてですね
誰かが教えてくれなきゃわからない
お釈迦様が教えていただく
イエス様が教えていただく
ムハンマドさんが教えてくれるので
そこで気が付く ですけども
日本人は能動的に気が付くんですね
あっ! なるほど
自然の様子を見たらこれが正しいんだ
祖先様にこれをやると恥ずかしいんだ
お天道様の下で嘘をつくと
これが泥棒の始まりになるんだ
いう風に自分で
自分の道徳とか人生とか
そういうものを理解していく
これが日本の宗教だから
宗教のレベルとしては
一段この 一神教よりか上なんですよ
それがね 一神教よりか下に
文化人がランキングしちゃったんで
ちょっと問題が起きたとそういうことですね
2022年1月27日 (ヒバリクラブ)
#武田邦彦 先生
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