本日の収穫(3495文字)
科学的哲学的論考の原発講座の五番ですね
福島原子力発電所爆発の
もう一つの原因についてご説明をします
もう一つの原因非常に難しいのでですね
もう諦めて説明はあんまり
聞かなくてもいいかもしれませんが
名前はちゃんと
覚えておかなきゃいけない訳ですね
一つが多重防御でありまして
これはもう既に四番までにお話しましたが
一番典型的には電源ですね
原子力発電所ではウランがずっと
継続的に核分裂してますから
常にその水を取り除かなきゃいけないということで
水を循環させてですね
普通海水なんです 海水を循環させて
熱を取るということをやってるわけです
その海水を循環させるのにポンプを使う
ポンプを回すには電気を使うということで
福島の場合は東北電力から電気の送電を受けて
そしてそれでポンプを回してたわけですね
このポンプが第一ポンプなんですけど
これが地下にあったっていうことで
地下なんかに設置するっていうのは
浸水床下 今度床下浸水 津波ではなくて
床下浸水でポンプが止まっちゃったわけですね
海水なんか入ってくるわけですから
もちろん通電してですね
電気がショートして駄目なわけです
そのために第二電源は少し離れた
丘の上に置いておくっていうことだったけど
それはサボって サボってっていうか
コストを削減しようとして地下室に置いといた
第三電源は東北電力が今度電気
送電できなくなることがありますからね
その場合は今度はトラックの上に乗せた
ディーゼル発電機でっかいやつがあって
それでディーゼルでやると
しかしそれも駄目な時があるということで
最後の手段として
バッテリーを八時間分ぐらい用意しといて
それを使うということですけど
福島第一原発は 全部それが第一から第四まで
バッテリーは少しなんか
上の方に置いてたらしいんですが
いずれにしても使えなかった
地下室なんかに置いといたら
もちろん床下浸水でもやられちゃいますからね
っていうことで効かない だけど
多重防御の考え方は真面目にやってれば
つまり東京電力がサボらなければ
良かったわけですね
考え方は別に間違ってありませんでした
ただサボったから
事故になったっていうだけですね
もう一つはですね
固有安全性っていうのがあるんですね
原子力発電所のことを
ちょっと勉強した人は最初にですね
原子力発電の種類っていうのが出てきて
辟易とするわけですね
軽水炉 軽水炉でも加圧水型軽水炉とかですね
いっぱい出てきて黒鉛減速炉とかですね
純水炉とかですね
高速増殖炉とかトリウム炉とかですね
溶融塩炉とかもう山ほど出てきてですね
もう何が何だか分かんなくなっちゃうわけですね
日本は軽水炉一本でいってます
東日本の方が沸騰水型軽水炉というもので
西日本の方が
加圧水型軽水炉っていうものなんですけど
これはもうほとんど両方とも同じですね
それでここではその差は
あまりに小さいものなので割愛しますが
安全性で少し違うんですけど
今度の事故とあまり関係がないんで
割愛しますが これは何かっていうとですね
ウランっていうのは普通爆発させる
つまり核分裂させると広島の原爆みたいに
ドカーンと行くんですよ
このドカーンと行くやつをどうしたら
ゆるゆると核分裂させて
少しずつ熱を出させるということが
できるかっていうのが原子力発電所なんですね
爆弾っていうのは一発でボーンって行って
瞬間にボーンって行くんですが
原子力発電所はそうじゃないと
そうするとウランが一つ ウラン原子ですね
ウランの原子がなんかの起爆剤で分裂しますと
2.4個の簡単なんですよ
2.4個の中性子っていうのを出すんですね
中性子がこうぱーっと散っていくわけですよ
ぱーっと散っていった
2.4個の中性子が次のウランにぶつかると
そのウランに吸収されて
そして核が非常に不安定になって
そこが核分裂をするわけです
核が分裂するためには
核が不安定になんなきゃいけませんからね
不安定になって分裂する
それがどんどんどんどん続いて
瞬間的に行けば原子爆弾になり
ゆるゆると行けば
原子力発電所になるんですね
ということは原子力発電所は
どうしなきゃいけないかっていうと
2.4個出たものを2.4個
そのままぶつかると一が二になり
二が四になり四が八になるって
どんどんどんどんあっという間に
ものすごい熱が出るので
2.4個出たうち1.4個だけがぶつかって
あとの あ! 1個の中性子がぶつかって
1.4個はどっかなくなって
しまわなきゃいけないんですね
そのために水とホウ素っていうのを使うんですよ
水は普通の水ですね
これ冷却にも使ってるんですけど
水を使いますとね
これは核分裂を速める方で
中性子が水の中を通りますと
中性子のスピードが遅くなるんですね
ウランの核から出てくると
ピューっていうスピードで中性子が出るので
次のウランにぶつかっても
通過しちゃうんですよ
あまりに速過ぎて
それは遅くしなきゃならない
遅くすると
次のウランにぶつかった時に吸収してくれる
ところがそれだと今度は
2.4個を2個ぐらい吸収しちゃうんで
やっぱり爆発みたいになるので
そこにホウ素を差し込むとですね
今度はホウ素が
その中性子を吸収してくれるんですよ
そうするとその水とホウ素を
適当にコントロールしたらですね
ウランの核からものすごく出た
ものすごくスピードの速い中性子が水によって
スピードが遅くなって
それで次のウランにぶつかると
核分裂をさせるんですけど
それちょっと行き過ぎるとホウ素の棒を
少し差し込むとみんなそこに吸収されちゃう
それからホウ素の棒を出す 引き上げると
どんどん核分裂が増えるっていうことで
作業員がですね 熱の出方を見て
作業員っていうか運転員が
熱の出方を見てですね
ホウ素棒を出したり入れたりすれば
それは普通は
精密なコントロールをするんですけれども
そうしますとちょうど臨界つまり1.0が1.0のまま
ずっと続くっていう離れ業ができる
これは原子力発電所が実用された
原因なんですね 理由なんですよ
だからどうしても循環にも使うんですけど
水つまり軽水ですね
原子力では純水っていうですね
重水素と酸素の結合した
純水っていうのも結構多用するので
多く使うもんですから
それと区別するために
ただ水って言ったら分かりにくいんでね
軽水炉って言ってるんですね
軽水炉にも二つありますが
それは非常に差が少ないので そうしますとね
循環する水が減速しますから分裂が速まる
そうするとある今水が入ってて
通常に原子炉が動いている時に
温度が上がるとしますね
何かの事故が起こって
事故が起こる理由はとにかくとして
事故が起こって温度が上がるとしますね
温度が上がらなかったら爆発しませんからね
温度が上がる そうすると水が蒸発します
すると本来水というものが
中性子を減速してスピードを下げて
そして分裂を速めているのに
水がみんな蒸発してからからになっちゃうと
もう水が減速しませんから
速度遅くしませんからね
だから次ウランにぶつかっても通過してしまって
これは衝突断面積って
難しい言い方あるんですが
ぶつかってしまってですね
そして あ!通過してしまって
その爆発が起こらないわけですので
事故が起こって温度が上がる水が蒸発する
ホウ素はそのままそこにある
そうすると今までバランスが取れてて
一定の熱が出てたのが熱が出なくなる
つまりもう全部蒸気になって
水が吹き飛んでしまいますからね
ということで軽水炉というのは固有安全性
つまり自分自身で
何もしなくても事故を防げると
つまり循環水がなくなったら
温度が上がりますよね
温度が上がっても減速材の水が同時に
蒸気になっていなくなっちゃうので
冷却もできないけども中性子も減速しないので
爆弾にならないということで
これはいいですよね
だって例えば自動車でも衝突するっていうのは
衝突する寸前に
自動車のエンジンがバチっと止まって
ブレーキがばっとかかればですね
大丈夫なわけですね
つまり装置自身が安全性を持ってるっていうのが
固有っていうもんですね 固有安全性
それで日本政府なり専門家
我々原子力の関係者もですね
恥ずかしながら日本は原子力発電所の
安全性を十分にするために
ロシアのように黒煙減速炉なんか使わずに
軽水炉減速でやりますと
そうしますとロシアは
黒煙を使ってるからチェルノブイリ
黒鉛は炉が暖かくなっても別に溶けることもないし
蒸発することもないので
ああいうことになったけども
日本の原子力発電所は水ですから蒸発して
中性子がそのまま
速い速度で外に出ちゃうので
大丈夫ですと 爆発しませんと
これが固有安全性と言っておりました
これがもう一つは間違っておりました
これは次の時にご説明しますが
これは故意に間違ったのかっていう
可能性も実はあるんですが
それから本当にアホだったのかということは
今のところまだ明らかにはされておりません
2022年3月22日
#武田邦彦 先生
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