本日の収穫(3677文字)
専門的に言えばというか
原子力発電所の安全性ということはですね
今多重防御と固有安全性の
この極めて大切な二つだけをやりましたが
それ以外に取水ポンプの問題であるとかですね
それから今度のことで分かりましたけど
地震による建物の亀裂の発生とかですね
いっぱい付随的なものがありまして
それらを全部議論しなきゃいけないんですが
それは本当にこういっぱい議論することが
あるということを頭に入れていただいて
ここでは少し足速く進んでですね
それで原発講座の七として
健康に関することに少し触れてみたいと思います
まず第一にですね 非常に重要なことは
被曝には安全ということはないんですよね
別にこれは隠しても何でもないんです
それで私が反原発 私反原発じゃないんですよ
私反原発じゃなくて
そういうレッテルを貼らないでほしいんですが
被爆には安全はないんですよ
それはどうしてかっていうとですね
安全である限度を調べようと思って
随分研究したんですね
メガマウス計画っていう
百万匹のマウスを動物実験で使ったりして
これは動物愛護からいったら
非常に問題なんですが
何しろ安全性をはっきりさせろ
はっきりさせろっていうことでですね
反原発運動が起こってるもんですから
それに答えなきゃいけないということで
百万匹のマウスを使った
被爆実験っていうのをやったんですね
みんなものすごくマウスは苦しんで
死んでいったわけですが
人間本位にやれと
こういう人間本位っていうのは
皆さんが言ってる自然との調和っていうのと
どういう風に関係するのかなと
僕なんか思うんですが 人間だから
しょうがないということに今なってるんですね
その結果ですね 結局被爆の安全限界っていうのを
決めることができなかったんですよ
これも変な話なんですね
私はたばこは肺がんの原因ではないんじゃないかって
いうことで随分疑問を述べているんですが
被爆とかたばこってちょっと似てるんですよね
自然界にもあるんです
たばこも自然界に幾らでもあるんですよ煙ですからね
煙に対するみんなの
嫌悪感っていうのは凄く強くて
なんか今度のたばこの追放運動っていうのは
人間の持ってる煙に対する嫌悪感が
出たんじゃないかと思うんですが
被爆もそうでですね
自然界に放射線はいくらでもあるんですね
もちろん太陽からも来ますし それから
土の中にも被爆する放射性元素ありますしね
それからさらに地殻の中っていうかですね
その地球の奥の方にはいくらでもありますから
だから自然放射線っていうのは
いっぱいあるんですね
極端な例を挙げますとオクロの自然原子炉って
いうのがアフリカにありましてね
ウランがこう溜まってるところがあるんですね
そこで自然に減速材なんかが土とか
そういうのが働いてですね
十七億年ぐらいの永きにわたって
原子炉として熱を出してたっていう
ところもあるんですよ
だからつまり地上には放射線もありますしね
放射線っていうのは
波長が長くなれば紫外線になり
可視光になりってなる訳ですから
もちろんそういうのが細胞に
人間の細胞に影響を及ぼすことあるんですね
ですから自然界と同じぐらいだったら
いいだろうっていうことで
安全基準っていうのを決められるんじゃないかと
いう風に思ってたわけですね
これは広島長崎なんかと同じように
ずっと長い問題で随分やられたんですね
それから実際に人間に事故だとか
広島長崎とか事故とかそういうので
大体こう患者さんが出てきます
患者さんはもちろん出てくるんですよ
甲状腺癌なんかが一番典型ですが
心臓にセシウムが溜まって
心筋に影響を及ぼしたりですね
それから妊婦とかそういう
細胞分裂が盛んな人とか
そういう人には色んなところに障害が出る
これは国立がんセンターの
被曝によるその各臓器のことの
どのくらい癌みたいなものができるのかと
いうことを見ていただくと分かるんですが
それで決めようと思ったんですよ
一生懸命実験もしたんです
研究もしたんですね 正直に
ところが分からないということが
分かったわけですよ
それからもう一つはですね
やはり遺伝子にも損傷を与えるんですね
遺伝子だけに損傷を与えるわけじゃないんですが
遺伝子にも損傷を与えるわけですね
もちろんホメオパシーの原理がありますから
放射線のような毒物が少量当たれば
健康にいいという面もあるんですよね
だけど遺伝子にも同時に影響を及ぼすので
どのくらいまで子孫に影響があるかと
影響があるようにするかということで
現在の基準は一応
子ども孫ぐらいまでですね
ある程度安全であるという
領域にしようということで
一年一ミリシーベルトっていうのが
決まってる訳ですね
今皆さんほとんどの人が間違ってて
僕は虎ノ門ニュースで随分丁寧に解説したので
その後少し 有識者は少し
発言を控えているようですが
安全の範囲であるじゃないかとか
言ってる人がいっぱいいたんですが
それがいなくなったんですが
社会の容認限度という
名前を付けているんですね
ちょっと英語の訳ですから
色んな日本語もあるんですけれども
受忍限度って言ったりするんですね
我慢できる範囲
つまり必ず被爆っていうのはある程度
癌だとか臓器の疾患なんか起こるけれども
まあそれはメリットがあるから発電という
メリットがあるから我慢しようじゃないかと
その我慢の限度っていう
名前が付いてるんです
安全基準じゃないんですよ
安全は分からない
だけど我慢しようっていうんで
それが一年一ミリシーベルトなんですね
ですから一年一ミリシーベルト以上
浴びても大丈夫じゃないかとか
医療はもっと
被爆してんじゃないかとかって言うんですけど
一応一年一ミリシーベルト
それで法律としては
法律っていうか裁判の運用としてはですね
一応一年五ミリシーベルト以上を浴びて
白血病になった場合
白血病って癌なんですが
白血病になった場合は
労災に認定するという現実にも
そういうことが行われているわけですね
ですから受忍限度があるって
まあこのぐらいだったら
いいだろうっていうのがあると
これはね 別にそんなんじゃ原子力発電所
やっちゃいけないじゃないかってことないんですよ
それは自動車はそうですね
自動車っていうのはですね
一時は一年に一万人も死んだと
それから減って交通戦争が終わって
交通事故が減って
一年に五千人ぐらいになってもですね
事故で怪我する人は百万人ぐらいいたんですよ
今はかなり減りましたけどね
だけどちょっと今はインチキ交通事故死亡の
基準を使ってますのでね
ちょっとデータとしては
信頼できないんですよ
今は交通事故で亡くなっても
二十四時間以上経過した場合は
交通事故としないっていう
その変な規則がありましてね
それでその為に結局交通事故死を
見かけ上減らそうということですね
ですから交通事故で即死の場合は別ですけど
病院に担がれて死にそうな時は
医者にちょっと頼んで
延命措置をしてもらうとですね
その人は二十四時間生きてれば
交通事故死にならないということで
警察の点数が上がるという
つまらないことが行われているので
ちょっと最近の交通事故死の統計は
あまり信用はできないんですよ
ずいぶん減ってるんでもうごく普通にですね
交通事故で亡くなった場合は
交通事故死にした方が
僕はいいと思いますけど
日本社会がそういう風になっちゃったんで
もうしょうがないですね
そこでそういう風になってはいるんですが
交通事故は交通事故で死ぬ人が五千人
今少し減ってますが
五千人程度いるのにもかかわらず
それから交通事故で負傷する人は
五十万人以上にいるにもかかわらず
自動車が走ってるんですよ
だから安全じゃなくてもやっていいんですよね
いやこれはもう僕がじゃないですよ
日本社会がそういう風に認めてる訳ですよ
完全なものしかやらないって
言うんじゃないんですよ
もう交通事故がありますからね
だから原子力も交通事故程度の被害以下って
いうことでやってるんで
その意味じゃ誠意があるんですよ
安全基準は決められない
つまりこれは安全ですかとか
今度の福島の被爆は安全ですかって聞かれたって
僕は安全ですと一切行ってないんですよ
一年一ミリシーベルト以下は
安全とも言ってません
それはみんながそれでしょうがないと
思ってる限度だっていうことを
一生懸命言ってるんですけど
どうもね ここもね
原子力推進の人はね
安全だ安全だって言ってます
だからそれね やっぱりね
自分の意見がどうであれ
やはり正しいことを社会に伝えて
社会がどう判断するかっていうのが
もし自分の意見と違えば
説得するのはいいですけどね
説得はいいけど
ちょっと嘘をつくっていうのは良くないですね
僕の嘘っていうのは
そういうのは嘘って言ってるんですよね
被爆には安全限界はありませんよ
だけど社会が交通事故と同じように
このくらいなら車売ってもいいですよと
自動車会社に言える
範囲がありますということですね
自動車会社は自動車会社に
それを隠そうとしてますけど
隠す必要ないんです
だって交通事故が
あることは明らかなんだから
だけど自動車は物凄く便利だから
もう自動車がなければ
物凄く多くの人が死にますからね
救急車も走れませんから
だからそういうバランスで決めてるんだってことを
まず基本を理解しないとですね
喧嘩の原因になりますから
そういうことですね
2022年3月24日
#武田邦彦 先生