2022/01/21

基本的な人生設計(2)仕事と自分の人生 (武田邦彦)





本日の収穫(3565文字) 

基本的な人生設計も二番に入りまして
中心的なところに踏み込んでまいりましたが
仕事と自分の人生 これについては
まぁ日本はですね 世界でも
現在はもう混乱の最中にあるんですね
何で混乱の最中にあるかって言うと
仕事というものの考え方がですね
日本とヨーロッパと全く違ってたわけですが
その日本の仕事に対する考え方を そのままにしながら
何の議論もせずに 官僚の成績とか
東大の先生が ヨーロッパに行った時の手土産とか
こういうようなことが原因でですね
日本の仕事が大きく手直しされてきました
その手直しされるごとにですね
我々は仕事に対する もうわけがわからなくなっちゃって
現在は仕事について 物凄く悩んでる人が多いんですね
従って ここではですね
まず仕事というものは どういう風に
自分の人生とのかかわりで決めるものかと
いうことから どうしても入らざるを得ないわけですね
仕事は二つあります まずヨーロッパ的な考え方ですね
これはですね ヨーロッパは国がですね
支配層の人達 五パーセントの支配層の人達と
九十パーセントの支配層に働かされる
非支配層の人達に分かれてるんですね
これはもう ギリシャからの伝統であってですね
おいそれと変わるもんじゃないです
従って 例えばイギリスを見てもですね
現在でも貴族制度ってのは残っておりまして
公爵伯爵 そういうのがいっぱいありまして
広大な敷地を持ってるわけですね
こういった その勿論その考え方っていうのは
日本では考えられませんが
イギリスでも 現在残ってると
いうことからわかる様にですね
それからもう アメリカではそれを真似てますから
上位 一パーセントの人が
国民の財産の三十七パーセントを
持ってるっていう様なことあるんですね
つまり わずか五パーセントの人が
残りの九十パーセントの人を
奴隷のようにじゃないんですけど
思うように働かせて
自分達はほとんどその 上前をはねるということが
社会体制なんですよ これは中国でもそうで
中国共産党は大体五パーセントですね 人口の
それが九十パーセントの国民を支配して
働かせるということなんですね
このあの五パーセント 五と九十という構造がですね
何をもたらすかっていうのは
仕事はできるだけしないようにする
つまり支配階層に入る 自分が支配階層に入って
毎日八時に出勤して五時まで働くなんて
そういう馬鹿らしいこと
これは そういう仕事が馬鹿らしいんですけどね
馬鹿らしいことはしないで済む 人生を送りたい
そうすると 色んな考え方が変わってきますね
例えばアメリカ人の 一番多い理想的な人生っていうのは
四十五歳までに働いて 十分な貯金をためて
その貯金で四十五歳で引退して
遊んで暮らすっていうんですね
日本はもちろん 全然違いますよ
元気な間は できるだけ年取っても
仕事をしたいということですから 全然違うんですね
この違いはやっぱり 五パーセントと九十パーセント
つまり自分は 九十パーセントに
入っちゃいけないっていう意識が強いんですね
それで結構 嘘もつくんです
もう一つは キリスト教の影響ですね
キリスト教っていうのは
ユダヤ教っていってもいいんですけど
キリスト教ユダヤ教イスラム教 みんな一緒ですけれども
どういう考え方かつったら
原罪という考え方があってですね
人間には原罪 つまりもう存在することが元々罪である
だからそれを 贖わなきゃいけない
そのために仕事という苦役をするんだ
仕事は苦役である 苦しいことである
だから原罪を背負っている人間は
その贖いとして 仕事しなきゃいけない
これからまた 色んな派生がありますね
原罪があるから 施しものをしなきゃいけないとか
かわいそうな人を 助けなきゃいけないとか
一部いいこともあるんですが
原罪意識 つまりヨーロッパの概念は
仕事はしない方がいい
どうしても仕事をしなきゃいけないのは
人間の原罪のためだと こういう考え方なんですね
これはヨーロッパが 個人主義だからなんです
ヨーロッパは初めから個人主義じゃないんですよ
バートランド・ラッセルが言ったように
イエス様までは 個人主義はなかったけど
その後 あまりに偉いイエス様が出てきたので
その後 変わったっていう考え方もあるんですね
これに対して 日本はですね
全然違うんです 百八十度違うんですね
日本はですね 絡合 私の言う絡合なんですが
集団なんですね ですから
自分が生きているためには
ご飯も食べる 味噌汁も飲む 魚も食べる
そのためには農業の人 味噌職人の人 魚を捕ってくる人
家にも住む 大工さんがいる 道路も必要だ
道路工事さんがいる
全て自分の人生を
支えてくれてる人はもう山ほどいる
それに対して まず自分は自分も仕事をして
その人たちの恩に報いて
その後が 自分の人生だっていう考えなんですよ
ですから 日本人はですね
仕事というのがですね 概念が二つあるんですね
一つが恩返しのための仕事
これはできるだけ 苦しいのがいいっていう考え方ですよ
人がみんな苦しんでる 例えば
お百姓さんは今はそんなことないんですが 昔はですね
暑い最中 夏の暑い最中でも草取りをしなきゃならない
魚を捕る人もですね
時化の時に 命の危険を冒して魚を捕っている
他の人もみんなそうですね
家をつくる人もですね 寒い時に 寒い冬の時に
家をつくるっていうこともあるんですね
だからその苦しみも 自分も共有しようという仕事と
それから自分の人生で
こういう仕事をやって世の中に貢献したいとか
こういう仕事は 自分の性に合ってるから
楽しいという仕事と二つあるんですよ
だけどヨーロッパ流の原罪 仕事は元々駄目なもんだから
できるだけやらない方がいいということは ないんです
ですから 日本の場合ですね
自分の仕事の人生における
仕事の役割は二つあって というか
時間の配分っていうのは
二つあるっていうか四つあるんですかね
一つは恩返しとしての仕事の時間
これは大体 九時から一時二時までと言われてるんですかね
九時から二時まで
だから九 十 十一 十二 一時間休んでいいんですけど
四時間 一日四時間は
恩返しのために全員がやんなきゃいけない
やんなきゃいけないっていうか
やりたい気持ちになるっていうんですね
日本人は やりたい気持ちになるんですよ
本当にね 日本人ってのは大したもんでね
私がよく言うんですけど
東南アジアに出向した
日本のサラリーマンの奥さんっていうのは
ついつい トイレ掃除もしちゃうんですよ
ところが 東南アジアに来ますと
メイドを雇いますからね
メイドの仕事がなくなっちゃうんですよ
それはそれでいいんです
日本流のやり方の生き方なんですからね
そういうことなんですよ
だから四時間はつらい仕事をする
残りの四時間は もし仕事をするとしたら
自分の人生をより高度にするため 楽しむための仕事をする
だから仕事が生きがいなんて言う人はですね
その第二番目の仕事のことを言ってるんで
第一番目の仕事は やっぱり仕事なんですよ
それから三番目が自分の遊びです 自分が楽しむ遊び
それから四番目が 自分が家庭とか友人とか
近くの人の手助けをする仕事ですね
仕事っていうか人生ですね 時間ですね
子供と遊ぶとかですね
それから 奥さんのちょっと手伝いをするとか
そういった事ですね
だから 日本人の一日というのは
恩返しの 仕事自分のやりがいの仕事
自分の遊びの時間
それから家族友人との時間という
四つに分かれてるんですよ
だから全然違うんです ですからその上でですね
実は日本には 集団的な仕事の習慣だとか
それから年功序列だとか
そういった いろんな社会システムが
それに応じてあったんですね ところがですね
もうそういうことの検討もなく 議論もなく
説明もなく みんなで話し合うこともなく
次から次と なんか新しい なんか
本当に厚生労働省とかそういう人たちの 本当思い付きとか
それから自分の出世のための 仕事作りとかでですね
臨時雇いがいいとかですね ニートだとかですね
もうそんなものが 色々出てきましてね
全然 後に哲学も何もないんですよ
それで自分は やりがいのある仕事を探せないとかですね
それから小学校ぐらいから
君の取り柄はどうだ なんて聞かれてですね
いや大学で随分悩んでる人いるんですよ かわいそうに
先生 僕は取り柄がない人間なんで
いや 取り柄って何で必要なのって聞くと
いやなんか取り柄が必要だって
小学校の時に習ったんですけど
ってもうそんな感じになっちゃうんですね
ここでまず言うべきことは 仕事には二種類ある
恩返しの仕事
苦しくても苦しい方が良い 恩返しの仕事
それから自分の生きがいとしての仕事
この二つが仕事としてあるということを
はっきりと認識していただいて
ヨーロッパでいうような稼げばいいとか
九十パーセントのね 
ヨーロッパの九十パーセントの被支配者の人は
とにかく 五パーセントの支配者に貢ぐために
仕事をしなきゃいけないんですよ
それからキリスト教を非常に信じてる 敬虔な信者はですね
原罪を償うために 仕事しなきゃいけない
だから全然日本と違うんで
そこをまずよーく押さえていただきたい
これは ものすごく時間の掛かることなので
そこのとこが一番大切だと思います

2022年1月19日 (ヒバリクラブ)

#武田邦彦

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