2022/03/16

【炉端の話】 環境と人間の超えられない性癖 (武田邦彦先生)


本日の収穫(3349文字) 

今日は環境問題の最も難しい課題に
炉端で取り組もうと思っておりますが
実はですね 環境を守るっていうのは
何かっていうことですね
一番いいのは消費が少なくて
質素な生活をするっていうのが一番いいですね
江戸時代なんかはですね
やっぱり素晴らしい
いわば素晴らしい環境だったんですけど
環境の捉え方にもよりますけどね
今みたいに温暖化がどうだとか
スモッグがどうだとかいう問題は何もなかった
何もなかったのはどうしてかっていうと
自動車もない電車もない
クーラーもない石油製品もない
鉄鋼もないっていうことだったから
良かったんですね
人間は自然の中で生活してた
その代わり平均寿命は四十歳ぐらい
寒さに震えて老人は冬を越せないと
赤ちゃんも秋に産むと
冬が越せない赤ちゃんが多いと
本当に赤ちゃんの時に命を落とす
子どもも凄く多かったわけですね
だから一口に環境といっても
非常に難しいんですが
ちょっとこの話をここに置いてですね
一般的にいうように
例えば節約をした方がいいってよくいいますよね
例えば月給が三十万の人がいるとしますね
その人が一念発起して環境のために
自分は節約しようと思ったとしますよ
そしてタクシーに乗るのもやめ
できるだけ歩く方が健康にいいし
食べるものもあんまり贅沢なものを食べない
それからスイーツもですね
いつも食べるようなことはしないといって
慎ましい生活をしたとしますね
そうしまして三十万の給料を全部使うことなく
二十七万ぐらいで
三万円ぐらい節約できたとしますね
この三万円をどうするかっていうとですね
せっかくお給料が三十万もらったわけですから
二十七万で生活できるようになったわけですから
その三万を捨てたりね 他人にあげるって
いうのもちょっともったいないんで
銀行に預けるとしますね
そうすると銀行はその三万円を
貯金をしていただいたらですね
一番銀行の正しい 正しいっていうか
普通の活動はですね
それを中小企業の社長に貸すわけですね
借り手がいない時もありますけど
基本的には貸すわけです
そしたら中小企業の社長は
銀行から百万なら百万借りてですね
それで ご商売をされるわけです
原料を購入したり
事務所の経費に使って暖房したりですね
それから車で
配達したりっていう時に使うわけですね
そうするとですね
人間としては節約した人は三万円あまり使わずに
その三万円をその貯金してるわけですから
あたかも環境にいいように見えますね
ところがその三万円は
ドブに捨てなければですね
銀行を通じて中小企業の社長に貸すわけですよ
そうすると中小企業の社長は
その金がなければちょっとクーラー我慢したり
配達ができなかったりするんですけど
お金があればできますからね しますね
そうすると環境という点で言えばですね
環境の側から見れば
その三十万円の月給の使い手が変わった
使う人間が変わったっていうだけなんですね
例えばAさんが三十万の給料をもらって
節約して二十七万で生活しても
残りの三万円を銀行に預けちゃったら
それはBっていう社長が今度使いますから
使い手が変わるだけなんですよ
これは人間としてはね
節約になるんですけども
環境としてはむしろですね
その個人の人が三万円節約するよりか
その金を有効に
中小企業の社長さんが使った方が
ガソリンとか物質とか自動車とか
多く使うことになるんですね
ですから節約してもし三万円余ったら
それを捨てなきゃいけないんですよ
私が使わないって誰か使いますから
しかももっと悪いことは
その三万円がずっと貯まってね 一年に三十六万円
十年貯めて三百六十万になったとしますね
その人がちょうどその頃退職かなんかして
その金を下ろしますね
そうするとこれは銀行の社会的役割ですから
みんな正常な活動をしているんですね
そのサラリマンは三十万のお金を節約して三万ずつ
これで環境にもいいことしたと思ってた 生活した
今度は銀行から中小企業のおやじが
その金を借りて商売する
これもう全然いいんですね
銀行も正しいことしてるわけですよ
ところがその金はあくまでも
サラリーマンのAさんのお金なんで
それを下しますね
それでそこで使うわけです
結局はそのAさんが元々使えば
三十万しか使えないのに
三万円貯金することによって実質的には
三十万使われて後にその人が下ろすので
三万円を二回使うんですよ
これが銀行の役割ですから
社会における銀行の役割は
お金の回転を良くして
何回も使うっていうのが銀行の役割ですから
だから銀行が正常な活動をしたら
三十万で済むところ
三十三万消費するっていうことになるんですよ
誰も悪いことしてないんですね
サラリーマンも環境のために節約する
中小企業のおやじも
一生懸命みんなのために借金して仕事をする
銀行は本来の仕事を全うしてですね
お金の回転率を高めてやるということですから
みんなが正しいことをしてるんですが
結果としては
節約すればするほど環境に悪い社会を作るって
いうことになるんですね
これは私が四国でですね
ちょうど今から二十五年ぐらい前でしょうか
もう三十年にはならないですね
二十年ぐらい前ですね
環境の講演会があって
一人が節約派の先生でした
それから僕が浪費型の先生っていうことでですね
討論会をやったことがあるんですよ
四百名ぐらいも来ましたかね
あの頃はそういう真面目な集会で
言論の自由も十分にありましたんでね
今はもう政府が言ったことしか
言えないっていうことで
けんか腰みたいになっちゃうんですけれども
その頃はそういうことを冷静に議論するっていう
講演会があったんですね
それでずっと話をしている間に途中でですね
相手の先生 節約派の先生が
もう言えなくなっちゃったんですよ
僕にやられちゃって っていうのは
先生のやってることは節約みたいに見えますが
それは消費を増大してるんじゃないですかと
言われちゃってですね
それも真面目な先生でしたからね
真っ赤になっちゃって
もう話すことができなくなりました
このことと同じことが
もう一つ行われるのがですね
環境の政策を決める人 大臣ですね とか
高級官僚と我々庶民の関係なんですよ
小泉進次郎さんがですね
レジ袋の有料化をした時に
これはレジ袋の有料化がプラスチックの生産量を
減らすということにはならないけれども
国民の環境に関する意識を高めるために
有効だと言ったわけですね
その国民の意識を
高めるといった小泉進次郎さん
小泉進次郎さんだけが
悪いわけじゃないですけど
大体平均して大臣とかですね
高級官僚っていうのは
国民の平均所得四百六十万よりか
はるかに高い給料を持ってるわけですね
資産なんかも二億とか三億とかいわれる
資産を持っている場合が多いんですよ
それ当然なんですね
それが悪いってわけじゃないんですよ
一生懸命勉強し 一生懸命いい大学に入り
いいところに入り
また政治家になったりして上の方に行き
そしたらやっぱり自然と収入増えますからね
収入が四百六十万の人と四千六百万の人と
消費量はどのぐらい違うかって
普通に考えたら十倍違うんですよ
だから簡単にいうと小泉進次郎さんは
国民一人当たり使う平均値よりか
十倍使って生活してるにもかかわらず
これ推定ですけどね
恐らく着てるものも
いいものを着ておられるし
食事も結構いいところで
食事されてるんじゃないかと思うんですね
それから家は結構冷暖房なんかあって
車も軽自動車じゃないと思いますよ
っていうことは小泉進次郎さんは金持ちで
環境にいい生活してないんですよ
資源も節約してないし
それから色んなものをどんどん使ってるわけですね
それからもちろん
それだけごみも増えます
ごみも増える それから
っていうようになるんですよ
このね 私がここに
人間の超えられない性癖と書いたんですけど
これね 非常に難しいんですよ
だって小さいからお母さんに
勉強しなさいつって聞き分けよく勉強した
そしていい学校に入って
いい職業について しかも努力をした
そこで出世もし給料も上がった
何にも悪いことしてないですね
だけど給料が上がるっていうことは
どういうことかっていうと
例えば日本人の平均が四百六十万 年間ね
四百六十万に対して
四千六百万取ったからその人が
悪いことをしてると言えないんだけど
それは四百六十万取れば
四百六十万使えますからね
もちろん先程言ったように
その年に四百六十万使わなくても
結局は貯金して
ますますひどくなるわけですね
ではやっぱりみんなで協力して
環境を良くしようと思ったら
お金持ちの人 偉い人から
消費を減らさなきゃいけないんですよ
じゃあその人は文句言いますよ
いや俺はなんで一生懸命勉強し
お母さんに怒られて一生懸命勉強し
あんなに一生懸命
夜遅く帰って努力したのかと
それは金が欲しいからって
いうんじゃないんですけど そうなるんですね
私が実はね
環境を守ろうとか言わなくなったのは
それに気が付いた時からなんですよ
僕はね 別にお金儲けようと思って
やってんじゃないんですけど
生活は楽なんですよ
賃金も平均の日本人よりか
僕の方が高いんですよ 所得が
だったら自分でできないことを
他人に言うことはできないんですよ
これはもうできないですね 僕は
性格上もできません
だから私は環境を守ろうとか
プラスチックをどうしようとか
地球温暖化どうとか絶対言わないんです
それは地球温暖化もしないし
プラスチックも環境悪くしませんが
それ以上に
私は自分は豊かな生活をしてるのに
他人に環境が大事だなんていうことを
言うことはできません

2022年3月10日

#武田邦彦 先生

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