2022/03/08

【炉端の話】日本人とはなにか?3  日本人の神 1.自然 (武田邦彦先生)



本日の収穫(3808文字) 

さて三回目から少し
具体的な話に入りたいと思うんですね
最近の日本人の一つの特徴は
結論は何?っていうすぐそういうんでですね
考え方とかそういうのが
本当に重要なんだけど
その考え方を飛ばして
ずっと生活をする癖がですね つきましてね
それはその基本的なことを
理解するのが難しいっていうか
ヨーロッパの概念を勉強するっていうことに
なるので それが嫌なので
結論はどうなのっていうことに
なったんじゃないかと思ってるわけですね
一回二回と割合基本的なことやりましたが
日本人の神様っていうのは二つあるんですね
一つが自然であり 二つ目が祖先なんですね
これは自然と祖先を
自分たちの神としたのには
多分 縄文時代 弥生時代
あたりなんだと思うんですが
日本人っていうのは非常にこう
自然に対する観察力が強いんですね
自然はどうして風が吹いているのか
なぜ雲は浮いているのか
なぜ風は西から来て東に吹くのか
海はどうしてあれるのか
なんていうことをじっくり考えたんですね
その結果 当たり前のことですけども
自分たちが今ここにいるのはなぜかって言うと
一つは自然があるからだ
二つ目は祖先がいたからだ
この当たり前のことに気が付くんですね
この当たり前のことって
もう一つ非常に大きなことがあって
日本列島に住んでる人は
日本人なんだっていう これ
これはですね
当たり前じゃないかっていうけど
世界でその土地に住んでる人は
その土地の人なんだっていうのを見つけたのは
日本人だけなんですよ
ですから如何に人間っていうのは
当たり前のことを発見するっていうのは
難しいかってことが分かるわけですね
今日は自然なんですが自然というものは
まずお天道様ですね
実は一番こう昔の書物を読むと
人々が恐れているのは冬至なんですよ
冬至っていうのはだんだんだんだん
太陽の照ってる時間が短くなりまして
一番短くなるわけですね
今では科学が発達してますから
だんだんだんだん太陽の照る時間が短くなって
夜が早くなり
朝が遅くなるっていうのは冬至であって
そのうちまたそれが
反転してくるよっていう感じなんですが
やはり昔の人は太陽がなくなったら
どうしようかっていう恐れが強いわけですね
したがって冬至の辺りっていうのは
非常にこう色んなことが起こってるわけですよ
例えば日本ですと
これは新暦ですけれども
冬至のすぐ後に正月が来るわけですね
それは新しい年というのは太陽の照ってる
時間が長くなる必要がありますからね
だって太陽が照らなければ
希望っていうのがないわけですから
希望が失われる時にお祝いをするって
いうわけにいきませんからね
ですから新年っていうのは
今の新暦の新年って非常に都合がいいわけで
冬至の後 大体一週間ぐらいで来ますね
そうしますと ああ日がだんだん
長くなってきたなあっていう喜びがあるわけです
もちろん二月の節分の辺り
旧暦の正月の辺りもそうなんで
気温がね ようやくこう
本当に暖かくなってくる
つまり今の新暦の正月ですと
まだちょっと寒くてですね
その後に小寒大寒と来ますからね
寒い時期があってそれがようやく
春めいてくるっていうのが節分あたりですね
もちろん昔の人は鋭敏ですから
季節を少し早めに感じますんでね
それで節分辺りで
あー太陽の日も長くなってきたし
少しこう春の香りがしてきたなっていう時に
旧暦の正月が来るわけですね
それからキリスト教なんかもそうですね クリスマス
私はですね イエスキリストが12月24日の
夜にかな?朝なんかに誕生されたというのは
やはり冬至と関係があると
いう風に思ってるんですよ
冬至が終わった途端に
キリストが生まれるわけですね
これは救い主というのはやっぱり太陽だっていう
そういう概念がやっぱりあるわけですね
もちろんエジプトでも
太陽神っていうのが最も神様の中心なわけですね
ですから日本でも
ここで再々言ってますように
お天道様の下では嘘をつかない
ということもですね
やはり太陽と非常に密接に関係がある
我々は今では太陽の光で植物が光合成を行い
光合成を行って
できた葉っぱを動物が食べる
だから人間は雑食ですから野菜っていうのは
太陽の光で直接光合成でできたものであり
お米もそうですね
それから肉の方は
それを食べた動物の方ですから
やはりこれも元々は
太陽の光とCO2温暖化ガスと水ですね
それでできたものなんですね
今頃 温暖化ガスCO2が
少ない方がいいなんて言ってるけども
それは非常に罰当たりのことで
私たちが食事としている稲ですね
稲は太陽の光とそれから温暖化ガスっていうか
CO2とそれから水で米粒を作り
その米粒を我々はいただいて
命を繋いでいるわけですから
そういうその恩を感じないようなこと
言っちゃいけないんですから
そういうことなんですね
したがってやっぱり太陽が中心です
しかし日本人は細かく見たんですね
山がなければいけない
どうも山に雲が引っかかって雨を降らせ
その雨が川となって流れ その川の中に
魚がいて川辺には木が生えて
そして飲み水を提供し
洗濯がすることができる
それから更に山の方から風が吹いてきて
その風で木々が生き生きとし
洗濯物が乾き
地面が乾いて苔とかそういうものが生えない
衛生的な環境ができる
今は風から電気を取ろうとかそういうこれも
その何て言うかな
恩を感じない自然の使い方なんですけども
風力発電なんていうのは
本当に自然を壊すわけですね
川が流れて海に流れ込む
そして母なる海 母なる大地
それから神様がおられるかとも
これはね難しいんです
西洋では大体神様は天上におられるんですが
日本の神様とか地獄とかのちょっと
平面っていうところがありましてね
日本の建物の軒先っていうのは
そうなんですけども
それから三途の川なんてのもそうなんですけども
大体こう日本の場合は平面の上に
この世があり
あの世があるという考え方で
天上地上という区別よりかは
ちょっと違うイメージがあるんですね
これも自然に対する
考え方だと思いますね
それから日本人の神っていうのは
実は他の国と全く違うのはですね
人間と神の境がないんですよ
人間が死にますと仏様になる
これは仏教が伝わってからの話ですが
伝わる前もですね
人間は死んで神になるんですよ
だから神と人間っていうのは
全然区別ってのができないものなんですね
これはもうキリスト教なんか見れば
はっきりするわけで
キリスト教は神様ももちろん一人で
一人かイエス様が加えればそういう数人なんですね
それでどんな聖人でも
聖人の列に連なってお亡くなりになっても
神様にはならないんですよ
あくまでも人間は人間なんですね
罪多き人間なんですよ
神様は人間を作った人であって
全然違うんですが
日本人は神様が
人間を作ったわけじゃないんですね
自然が人間を作ったわけです
それで神というのは象徴しているわけですね
それを 抽象概念なんです
この抽象概念っていうのは
日本人では当たり前なんですね
例えば浄瑠璃を
見れば分かるんですけれども
浄瑠璃っていうのは黒い服を着た
人形遣いが後ろにいるんですよ
人形の後に
どう見たってよく見えるんですけれども
日本人は抽象概念ができますから
後ろに見えててもいいよと
それは見ないからっていうことができるんですね
ところがヨーロッパ人は
それできませんから
人形芝居っていうとできるだけ細い糸を使って
人間は見えないように
屋上か何かにいてですね
そこから糸を垂らして
人形を操作するっていうことになるんですね
これは抽象概念が
しっかりしてる日本人っていうのが
どういうものかっていうことですね
これはペリーが浦賀に来た時に
だんだんだんだん外人が上陸してきますね
そしてとある時に山道を歩いてたら
おばあちゃんがですね
お地蔵様になんかみかんかなんかを捧げて
そこでお祈りしてるわけです
それでその外人がですね
通訳がいたと思われるんですが 外人がですね
いやその偶像を
崇拝するってことは駄目なんだよと
そんなのは別に良くないことなんだと
こう言うとですね
お婆さん何つったかったらですね
あなた何言ってんですか
私はお地蔵様は石で作った
作り物であるなんてこと知ってますよ
もちろん神様じゃありません
だけどもお地蔵様にそのこう祈ることによって
祖先を敬ったり感謝したりする
ただ道具にすぎないんですよ
あなたはそんな簡単なことも分かんないんですかと
言ってたっていう話があるんですね
こういう話はガリレオがそれでも地球が回ってるって
言ったっていう話と同じようにですね
こういった有名な話っていうのは
極めて真実をついているけども
本当にそれがあったかどうかって
あんまり追求しなくていいんですね
こういうのに類するのに
後に整理いたしますが
天皇は神様である
これはもう日本人全部が天皇が神様じゃなくて
人間であることを知ってるんですよ
しかしその抽象概念お地蔵様とか天皇陛下と
いうものを抽象化したものというものが
区別して日本人は認識することができる
これが日本人が神様を自然の神様を敬う
という一つの例でありましてですね
その意味でも日本人の概念の
捉え方っていうのはですね
私は人形浄瑠璃が
一番いいと思うんですが よーく分かる
そんなくだらないことあなた言ってんの
私お地蔵さんに対してお祈りしてるけど
それはお祈りする時にお天道様でもいいし
お地蔵さんでもいいんですと
それは お地蔵様を
お地蔵様であることはよく知ってますよ
この石の塊がね 神様でないことぐらい
あなたは分からないんですかと言ったという
このおばあさんの素晴らしい日本人の抽象概念
っていうのを私は非常に感心するわけですね
それが日本の
神の一つの形を成しております

2022年3月2日

#武田邦彦 先生

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